2023年11月09日
脳神経内科が語る認知症コラム その4ーもしかして認知症? 物忘れ以外の症状に注目ー
(4)どんな症状が出る?
認知症というとどんなイメージをお持ちでしょうか。日付や病院の受診日を覚えていないといった記憶の障害や、料理ができなくなってしまった、段取りが悪くなったといった遂行機能の障害がまず思い浮かびますでしょうか。これらの認知機能の障害はやはり認知症において中心となる症状ですので”中核症状”と言われます。実は、認知症では、認知機能の障害以外に様々な行動異常や精神症状が出現し、“認知症の行動・心理症状(BPSD)”と言われます。不安、幻覚、妄想、うつ、興奮、暴言・暴力、徘徊などです。”中核症状”に対して”周辺症状”と言います。”認知症の症状”=”認知機能障害”ではないのです。”認知症の症状”=”中核症状としての認知機能障害”+”周辺症状としてのBPSD”として包括的にアプローチする必要があります。それぞれについて詳しくみていきましょう。
(4-1) 中核症状
認知機能障害、いわゆる物忘れの症状です。”認知症”という言葉でイメージしやすい症状と思います。認知機能障害と言っても、短期記憶が障害されるのか、計算などの遂行機能が障害されるのか、実は認知症の種類によって差があります。頻度が最も多い、アルツハイマー型認知症では、まず、短期記憶の障害が生じます。具体的には、例えば”さくら ねこ でんしゃ”などの関係性に乏しいランダムな単語を覚えてもらい、数分後に覚えているか確かめるテストが苦手です (遅延再生)。特に、単語そのものの障害というよりもエピソード自体の記憶が障害されることも特徴です。例えば、2日前にレストランで夕食を食べたとします。お家に帰った後にレストランで食べた物を忘れてしまうことはあり得るかも知れませんが、”レストランにいった”というエピソード自体を忘れるなどの障害が見られます。このような短期記憶障害が初期から見られ、徐々に、今日の日付や曜日、場所が分からなくなっていきます。
(4-2) 周辺症状行動・心理症状(BPSD)を指します。認知機能障害による、あるいは、これと独立した症状として、精神・行動化を伴う多岐に渡る症状が見られます。具体的には、以下のものがあります。非常に多岐に渡る症状で、中には認知機能障害よりも周辺症状が前面に出ており、認知症とは気づかれずに精神科を受診される方もおります。
これらの症状が出た場合には脳神経内科にぜひ相談下さい。
⚫︎ わけも無く悲しる(抑うつ気分), 不安になる
⚫︎ 怒りやすい(易怒性), 言葉が通じずに常に興奮している (不穏・興奮)
⚫︎ 実際に大声で怒鳴ったり, 物を投げたり, 手を出してくる (暴言・暴力)
⚫︎ 意味もなく夜中にうろついたり、家の外に出ていってしまう (徘徊)
⚫︎ いないはずの小さい子供や虫が見えたり, 聞こえていない音が聞こえると言う(幻視・幻聴)
⚫︎ 昼間が寝てばかりで夜に起き出してしまう (昼夜逆転)
いかがでしたか。
認知症を疑うには物忘れだけ注意するのでは足りません。
“中核症状の認知機能障害” + “周辺症状のBPSD”, この2つを必ずセットでアプローチすることで認知症の早期発見、ひいては、健康寿命の延長ににつながります。
key wordは”どこまでも患者様のために”。